みやかわ漢方薬局は、とくに女性のための漢方をめざしてしています。診察室併設。女性スタッフ対応。東川口駅徒歩2分

漢方薬局・温灸院のみやかわ漢方堂

漢方薬や鍼灸治療に関する豆知識を中心に、皆様のお役に立つてるような
話題をコラムにてお伝えしていきたいと思っております。

「深い思い」

松尾芭蕉の『奥の細道』に、「栗という文字は、西の木と書きて、西方浄土にたよりありと、行基菩薩の一生、杖にも柱にもこの木を用いたまうとかや」とあります。とても好きな一節です。栗という漢字の「西」と、西方浄土の「西」とは、何らかの関係があるかもしれないと、栗の木を愛玩したというのですが、この(思いこみにすぎない)ただの西つながりに一生を賭けられるのですから、行基という人はただ者じゃないですね。


無関係、役に立たないと知りながら、思いを深め、ずっと保ち続けることは、とても真似できないことです。一つのことをコツコツ続けるのは、根気が必要だと思っていましたが、実は「深い思い」が礎になければ、なし得ないことわかりました。逆に、一つのことをコツコツ続けている人は、「深い思い」を持っている人といえるわけです。僕はコツコツ続けている人を尊敬していますが、それは「深い思い」を持っているからなのでしょう。

病気をきっかけに、人生への思いが深まるとしたら、病気自体は悪者じゃないですよね。緒方拳のように役者を全うするのも良いのではないでしょうか。今は、あまりにも、治る、治らないということを求めすぎていると思います。病気が治ることが幸せなら、治らないのは不幸ですし、すべての病気が治るわけでは有りませんから、不幸者は増えるばかりです。

病気をきっかけに、思いが深まることが幸せなら、治らなくても不幸ではありませんし、役者を全うできれば、治らなくても幸せなのではないでしょうか。

東洋医学は2000年もかけて、思いの深い医学に熟成していると思います。病気を治療するだけでなく、病気になる前への配慮(未病の治療)から、老後への配慮(養生)まで、実に思いやりに満ちています。それは「人の幸せ」ということを追求し続けた姿だとおもいます。

みなさんも、病気としあわせの関係について、考えてみてはどうでしょうか。



東洋医学は、鍼や灸を使った物理療法、生薬を使った薬物療法だけではなく、未病から養生まで、どちらかというと奥深い医学です。

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