漢方薬や鍼灸治療に関する豆知識を中心に、皆様のお役に立つてるような
話題をコラムにてお伝えしていきたいと思っております。
大地の力
東洋医学では、太陽、風、雨などを「天」、大地、引力などを「地」とし、それらの力によって、人間は生かされていると考えています。今回は、大地について考えてみたいと想います。オオカミは、土に穴を掘ってくらしています。イヌもオオカミの仲間ですから、本能的には土の上に棲むのが理想です。ところが、ペットになると、コンクリの上か、近頃は家の中で飼われています。果たして、イヌの健康にマイナスにはならないのでしょうか。
植物でいえば、植木鉢で育てるのと、地面に植えるのと、あきらかに違いがあります。植木鉢では、熱心に水をやり、肥料をほどこしますが、それでも弱くて、虫害に遭ったり、育てるのに苦労します。地面に植えると、水やりをわすれても、肥料をやらなくても、枯れずに丈夫に育ちます。植木鉢で病気になった植物でも、地植えすると元気になります。これが大地の力ではないでしょうか。人間がかまえばかまうほど弱くなり、天地にあずければ、強くなる。これは動物も人間も同じでしょう。
ペットのイヌが、アトピー皮膚炎になったとか、糖尿病になったとか、何らかの原因が在るでしょうけれど、大地から切り離したことと関係が深いのではないでしょうか。また、イヌは、思いっきり走りたいのに自由に走れない、牙で固い肉を引き裂きたいのに、コロコロしたペットフーズとやらを食べて、やむなしとしている。気持ちも、身体も、すっきりしないでしょうね。
放牧されている牛は、大地を踏みしめ、風に吹かれて、とても気持ち良さそうです。冬でも、雪の中、白い息を吐きながら、楽しそうです。
人間も野生の動物と同じでしょうから、時には、太陽の光を浴びて、大地を裸足で駆け回り、身体もこころも解放させないと、何かしら狂ってくるのではないでしょうか。それが無差別殺人かもしれないし、奇病かもしれないし、難病かも知れません。まだ病気ではない、どこも悪くないといっても、天地自然に還る時間を造ることは、とても重要だと思います。