漢方薬や鍼灸治療に関する豆知識を中心に、皆様のお役に立つてるような
話題をコラムにてお伝えしていきたいと思っております。
眠りましょう。
一日の始まりは、朝ではなくて、寝る時だ、といったのは伊藤真愚先生(故人)です。睡眠を十分にとってこそ、翌日の活動が保証されるわけですから、寝るときが一日の始まりというわけです。昭和40年くらいまで、夜に電灯をつけていると、父親がしきりに「勿体ない」と愚痴っていたのをおぼえています。おそらく、大人は9時ころには寝ていたのでしょう。ところが今は、9時にねる大人は、ほとんどいません。早くても10時、遅い人では12時、1時のようです。小うるさく言うつもりはありませんが、スキッとした寝覚め、気持ちのいい一日を過ごすためには、早寝早起はきわめて大切です。
標準の睡眠時間を8時間とします。
この数字は固定されるものではなく、時と場合によって異なります。たとえば、楽な一日だったら、8時間以下で十分でしょうし、たくさん働いたり、たくさん食べた一日なら、8時間以上必要です。
胃腸が弱い人が、食べ過ぎたら8時間以上ですし、、少なめに食べたら8時間以下ですむでしょう。胃腸が強い人は、元々8時間以下で足りますが、少なめに食べたのなら、かなり少ない時間で十分だと思います。
疲労物質を分解するのが肝臓ですから、肝臓の機能がよい人なら、睡眠時間が元々少なくてもよいようです。アルコールは肝臓で処理されますから、お酒を飲んだら、睡眠時間は伸びます。
このように、体質と、生活状態によって、睡眠時間はことなります。自分の体質を知って、それに合った生活をすれば、十分な睡眠がとれ、さわやかな一日を迎えることができます。
たとえば、仕事をしていない、胃腸、肝臓が丈夫な人は、睡眠は5時間程度で十分かもしれません。胃腸も肝臓も弱い人が、人並みに食べたとすると、なんとなく疲れがのこり、朝の目覚めもすっきりしませんので、たくさん寝る必要があります。少食につとめたなら、睡眠時間を少なくすることができるでしょう。
寝起きが悪いのは、夜の食事が多すぎたり、飲みすぎたことが考えられます。水分のことは、漢方堂コラムその2を読んでください。
身体はある程度無理がききますが、積み重なればまず風邪をひきます。それでもダメだったら病気になるでしょう。風邪を引かない人は、いきなり病気になります。その場合は、とても治りにくくなります。どういう病気かというと、原因がはっきりしない病気です。肩こり、めまい、頭痛、脱毛症、自律神経失調症、不眠症、便秘、下痢など。これらは、生活習慣の乱れが原因ということになります。よくよく考えて、きちんと睡眠をとることをしないと、こじれて元には戻らないでしょうね。
*伊藤真愚:『いのち輝く健康百科―すぐに役立つ東洋医学』(佼成出版社)など著書多数。 (2008/06/1)