漢方薬や鍼灸治療に関する豆知識を中心に、皆様のお役に立つてるような
話題をコラムにてお伝えしていきたいと思っております。
院長のインタビューが『大人の休日』に載りました
JRが発行している『大人の休日』(3月号)に、院長のインタビューが載りました。お題は「お灸」です。お灸は、古代の中国に発明され、奈良・平安時代のころに日本にもたらされました。そのころにお灸治療を普及したのは、お坊さんでした。今でもお寺の名灸がありますが、その名残です。中国では、おそらく食生活の変化・生活様式の変化によって、11世紀ころからお灸療法は行われなくなり、今ではほとんど行われていません。
中国で行われなくなったお灸は、日本では盛んに行われています。お灸は熱ですから、体温が高い人には特に熱く感じます。体温が高い人は、食欲が旺盛で、血色の良い人ですから、お灸が行われなくなったというのは、中国で、食事が変わって栄養豊かになったからだと考えられます。今の日本人も血色がよくなりましたから、お灸は合わなくなってきています。
元来、日本人は血色が悪い人種なのかも知れません。なぜなら、食べ物が良くなって、生活環境も暖かになっているのに、まだまだ冷え症の人は多いからです。本家の中国で廃れたお灸が、日本で活躍しているのには、こういう背景があるのだと思います。
東洋医学では、血の流れのスジを「経絡」とし、そのスジの血行不良によって病気が発生すると考えています。したがって、消化器につながる足のスジを冷やすと、消化器のはたらきが悪くなります。胃炎、胃下垂、下痢などがこれに相当します。生殖器につながる足のスジを冷やすと、生殖器のはたらきがわるくなります。不妊などこれに相当します。
つまり、東洋医学は、足を冷やすことは、足を冷やすだけでなく、お腹の病気を引き起こす、ということに気がついたわけです。治療は壊れたところを修復するわけです。壊れたところは、この場合は足です。不妊の治療は足、下痢の治療も足、胃炎の治療も足。
壊れたところにお灸をして、修復すれば、そのスジも調子がよくなるというわけです。面白いことを考えたものです。『大人の休日』には、そのような話が載っています。
(2008/03/02)